これを今から30年ほど前、無線 と実験誌のライター、金田明彦氏がマイクロフォンカプセル(振動板)の直後にラインレベル以上にまで増幅してから送り出す「DCマイクロフォン」を開発発 表して、その鮮度に大変な驚きを録音界に与えました。ドイツ・グラモフォンやマイクロフォンメーカー・ショップス、そのほかの名だたるメーカーも試作して その効果を実感した、という噂があります。
ただ、それが一般化しなかった最大の理由は、ファンタム電源とは全く異なる方式であったから、現場に受け入れられなかったためです。電子回路の勉強をしていない、専門学校卒業のエンジニアには使いこなすことは不可能でしょう。
私 は第一にこの金田式DCマイクを、ファンタムと同じ3ピンキャノン二系統でステレオ伝送する様に改良することに成功しました。もう15年くらい前です。これで一部のレコーディングエンジニアには使いこなして頂けるようになりました。また元々DCマイクは単一指向性でありましたが、無指向性の可能性も追求してきました
これがDCマイクのブロック図です。高性能なDCアンプをマイクの振動板(カプセル)の直後に配置して、37.6dB増幅させ、ラインレベルより大 きな状態で伝送ラインやファンタムのラインに送ります。したがって、PhantomPower=Offでなければなりません。電源はファンタム以外の方法 で、たとえば電池を用いる、などの方法で送り込みます。
大きな信号を長距離伝送するので、開発者の金田氏の回路には無い、大きな容量をドライブする能力をDCアンプに持たせています。詳細はこちら。
このような大きな電圧信号で送ると、途中の伝送ラインで生じるノイズや、微少レベルの歪みが相対的に小さくなって、特に小さな音量の時の音質が向上、微妙な楽器のニュアンスが見事に生々しく録音することが出来ます。
マイクカプセル(振動板)は、Schoeps MKシリーズかAKG CK-60シリーズを用います。
また、単一指向性の旧来のXY式(上記写真)の様なものだけでは無く、マイクを一本一本作り、いろいろ実験してきました。
2016/1/17更新